【第515号】令和5年11月

 ≪ トヨタ PHV・プリウス と 米国 EV・テスラ  ≫

2022年乗用車世界販売台数
1位トヨタRAV4 101万5700台で2年連続一位となります。
2位トヨタカローラ99万1千台、3位テスラモデルY 74万7千台、4位ホンダCRV 73.3万台、5位トヨタカムリ 67.3万台、6位トヨタハイラックス 63.3万台、7位日産シルフイ 56.6万台、8位トヨタカローラクロス 53.3万台、9位フォードF150 52.5万台、10位テスラモデル3 48.2万台、11位ホンダアコード 48.5万台、12位ホンダHR-Vヴェゼル 47.6万台、15位トヨタハイランダー・クルーガー 40.5万台、17位ホンダシビック 39.8万台、20位マツダCX5 36.3万台、22位日産ローグスポーツ 35.8万台、25位スズキ・マルテ 33.3万台、27位いすゞロマックス 32.5万台と続きます。

2022年の国別販売台数
1位中国 26,863千台、2位米国 14,230千台、3位インド 4,725千台、4位日本 4,201千台、5位ドイツ 2,963千台、6位ブラジル 2,104千台、7位英国 1,943千台、8位仏国 1.929千台、9位韓国 1,689千台、 10位カナダ 1,562千台と続き、世界販売累計は 81,628千台となります。

10位のテスラは2021年19位でしたが、2022年には前年比91%増でEV車テスラが急増しております。
米国経営コンサルト企業は2027年の世界新車販売台数は9370万台と予測しEVが全体の23%でPHVは7%と予測します。
スウェーデンのボルボ社は2030年には全ての新車販売をEVとしPVHを含むエンジン開発から撤退する方針です。

【 PVH・プリウスの歴史 】

地球温暖化の議論は1992年ブラジルのリオデジャネイロで開催された、国連の「地球サミット=環境と開発に関する国際連合会議」から始まります。
1993年トヨタ社内では「21世紀のクルマ」に関する議論が高まります。
COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)は1995年ベルリンCOP1 1996年ジュネーブCOP2 1997年京都COP3と続きます。

1994年トヨタは燃費2倍を目指しますが困難を極め、ハイブリッドの採用を決定します。
1995年試作モデルが完成し、高効率D4エンジンと電気モーターにキャパシターを組合せたハイブリッドシステムで30㎞/Lの実現を目指します。
1997年12月京都議定書COP3会議の閉会式で、世界初の量産ハイブリッドカー「初代プリウス」の発売を発表します。
駆動ユニットはガソリンエンジンと永久磁石式モーターを併用し、燃費は28.0㎞/Lです。

2003年二代目プリウスのハイブリッドシステムは、エンジンの回転数を高めモーターの出力を50%増強して燃費は35.5㎞/Lに向上し、モーターのみの走行が可能となります。

2009年三代目プリウスはエンジンを積んだハイブリッドカーに、コンセントから差込プラグを用いてバッテリーに充電できるPVH・プラグインハイブリッド車になります。
1.5Lのエンジンを1.8Lに変更、電動式冷却水ポンプなどを採用し燃費向上対策に良織燃費は38.0km/Lを達成します。

2015年四代目プリウスは吸気ボード変更や、排気ガス再循環などの燃費改善でガソリンエンジンの熱効率40%を実現し40.8㎞/Lを達成します。
バッテリーはニッケル水素電池のみからリチウムイオン電池も採用されます。

2023年五代目プリウスは1.8Lモデルと2.0Lモデルを発売。プリウス独自のPHVから一般的呼称のPHEVへ呼称を改めます。
新型PHVEはEV走行距離を50%以上アップさせモーター走行は87-105㎞となり、バッテリーはコンセントから充電出来ます。

【 米国 EV テスラ 】

1900年初め米国では馬車から、エンジン・蒸気・電気自動車に乗り換える人が多くなります。
エンジンや蒸気自動車に比べ操作性が良い電気自動車が人気となり1912年ピークを迎えます。
1908年フォードがガソリンエンジン車T型フォードが発売し、大量生産されると1912年電気自動車が1750㌦のときT型フォードは650㌦で1935年には電気自動車は見当たりません。

電気自動車に再び関心が高まるのは大気浄化法改正法が成立し、同法により自動車の排気ガスに対する規制が設けられました。
1973年の第一次オイルショックはガソリン価格の高騰となり再び電気自動車に注目が集まりました。
1976年米国議会は電気自動車とハイブリッド車への研究開発を支援することを認めます。
1970年代多くの電気自動車が登場しますが航続距離、速度に限界が有り売れません。

1990年改正大気浄化法と1992年エネルギー政策法は電気自動車への投資を再び後押しします。
1997年トヨタプリウスが日本で初めて製造され2000年には世界で販売されるようになります。
2017年までにトヨタのハイブリッド車は1千万台を超え、うち600万台はプリウスです。

テスラ・Tesla社は米国の電気自動車メーカーとして2003年設立されます。
資金調達で関わったイーロン・マスクが翌年から会長に就任します。
2006年航続距離200マイルのEV車を発表し2008年納車されますが98,000㌦と高額でした。
2008年10月マスク氏がCEO就任します。
第二弾のEVは2012年セダンタイプの「モデルS」は2013年の東京モーターシヨーに展示されます。
「モデルS」は実用性が評価され幅広いユーザーへ支持が広がります。

2015年SUVタイプの「モデルX」が投入され、いずれも日本市場に導入されます、

そこからテスラが飛躍を遂げるのはより低価格の2016年に発表される「モデル3」からです。
手に入りやすい価格をアピールしたことで予約が殺到します。
2017年7月発売されると米国のみならず欧州やアジア地域でも先進的ユーザーに支持されヒット商品になります。

続いて2020年発売の中型SUV「モデルY」はモデル3を上回る人気となりいまや主力商品としてテスラの販売を牽引しております。
需要増に応えてテスラは巨大工場を上海、ベルリンなどに開設し一気に生産能力を増強し世界トップクラスの電気自動車メーカーとして飛躍していきます。
さらに大型けん引トラックの「テスラセミ」やピックアップトラックを発表します。
フォード、GM、ベンツ、日産がテスラの充電システムの導入を決定し、北米のEV充電規格はテスラ・スーパーチャージャーに統一されることが決定的となります。